今年の6月に国家としては初めてビットコインを法定通貨に採用したエルサルバドルですが、
米国大手銀行であるバンクオブアメリカがビットコインによる経済メリットが同国にどのような効果をもたらす事になるのか言及しています。
BTCを通貨として利用するメリット
人口664万人と小規模国家であるエルサルバドルにおいて自国通貨である「コロン」は殆ど使用されておらず2001年に自国通貨を放棄して、米国ドルを法定通貨として採用した経緯があります。
エルサルバドルは1人あたりのGDPが3,800ドルと自国内で十分な利益を生み出す仕組みが整っておらず、大半が移民先の国から送金される米ドルを自国内マーケットで流通させています。
このためGDP全体における海外送金の割合は24%を占めており、このことから米ドル頼みの金融政策が見て取れます。
この中から少なくとも2.4%が送金手数料として消失しており、ビットコインを海外送金に利用することでこれら送金ロスの削減を促す効果があるとバンクオブアメリカの試算結果で算出されています。
当然、ビッコインを活用する上でボラテリティに対するリスクヘッジ問題など課題は多く存在します。
これに対してバンクオブアメリカはライトニングネットワークを活用し、通貨の送受信を自動化させることで価格変動リスクを最小限に抑えることが可能だと説明しています。
国内インフラの拡充
エルサルバドルでビットコインが正式な通貨として承認されるのは来月9月7日です。
ビットコインの使用に関しての強制権はありませんが、国としては少しでもビットコインの使用を促すために1人あたり30ドル相当のビットコインを配布することを決定しています。
また、国民にとってより身近に感じてもらうためにビットコインATMの設置を行うなど国内インフラの拡充にも注力しています。
国家がこれほどまでに力を入れているビットコインへの投資ですが、現段階では国民の4分の3がビットコインを法定通貨として採用されることに懐疑的な見方をしており、調査機関ディスルプティバが公表した調査によると、ビットコインの法定通貨採用を「全面から反対する」という意見は全体の約54%、「部分的な導入には賛成」という意見が24%、採用を容認するという肯定派は全体の20%にしか達していません。
また、ビットコインの使用をする以前の問題で国民の約半数がビットコインに対する正しい知識を持っておらず、今後は仮想通貨を含め国民の金融リテラシーを向上させることが重要になるかもしれません。
クリーンエネルギーによるマイニング
世界的な脱炭素化の流れが進む中、マイニング事業にもゼロエミッションの観点は急速に求めらてきています。
またマイニング事業から脱炭素化技術への投資が促進されることでより効率的に海外マネーを獲得することも可能です。
現在国営企業である発電事業者と火山エネルギーを活用したマイニング施設の構築に向けて協議中であることを発表しています。
まとめ
国家によるビットコインの法定通貨採用は世界初であり、このニュースには賛否両論様々な意見が飛び交っていますが、
ビットコインを使用する世界人口の総数が広がっていくことでボラテリティの改善や通貨としての安定性が増してくるものと考えられます。
来月から同国で法定通貨として採用されることでビットコインの値動きにどのような影響を与えるのか、今後の注目の的になりそうです。